先日の探偵ナイトスクープで、いわゆるモンティホール問題( Monty Hall problem )が取り上げられていました。モンティホール問題というのは、
1. 出題者が3つのカップのうちのどれか一つだけに玉を入れて伏せておき、
2. 解答者に、その中から玉が入っていそうなカップを選んでもらい、
3. 出題者が空のカップを一つ開けて見せ、(それを取り除き、)
4. 解答者にもう一度チャンスを与え、残った別のカップに選択を変えるかどうかを選択させる。
というゲームにおいて、解答者が別のカップの方に選び直した場合は、当たる確率が2倍に増えるというものです。(モンティ・ホール問題のオリジナルは、3つのドアのうち当たりのドアの向こうには自動車が、ハズレの2つドアの向こうにはヤギがいる、というアメリカのゲーム番組から論議を巻き起こした問題で、その司会者がモンティ・ホール氏。)
番組で説明されていた原直樹さん(河合塾の数学科講師)の解説がとても明解で、長年疑問に思っていた謎が解けました。探偵秘書でバイオリニストで京都大学出身で最近結婚された松尾依里佳さんも釈然としない顔(?)でしたので、今一度、ここでシンプルな図を使ってわかりやすく紹介します。
下の図で、解答者がAのカップを選んだ場合について考えます。Aを選んだ時点では、図のように、玉がAに入っていた場合、Bに入っていた場合、Cに入っていた場合の3通りが考えられます。
【図】 赤いカップ(選択を変えない時)よりも、青いカップ(選択を変えた時)の方が、玉が入っている「場合の数」が2倍多いことがわかる。
それぞれの場合について、解答者が選んだカップを赤色で示し、出題者が取り除く、玉が入っていないカップを薄いグレーで示し、そして残る1つのカップを青色で示しています。(Aのカップに玉が入っていた場合は、Bの代わりにCを取り除いても同じ結果になります。また、BかCに玉が入っていた場合は、必ず図のように取り除かれます。)
ここで解答者が選択を変える場合は、必然的に青いカップを選ぶことになります。
一方、選択を変えない場合は赤いカップを選んだままになります。
この図からわかるのは、赤いカップを選んだ時(選択を変えない時)に玉が入っているのは、図の縦方向に並んだ3通りのうちの1通りしかありません。
つまり選択を変えない場合は、当たる確率は1/3です。
一方で、青いカップを選んだ時(選択を変えた時)に玉が入っているのは、図の縦方向に並んだ3通りのうちの2通りあることがわかります。
つまり選択を変えた場合は、当たる確率は2/3になります。
以上より、選択を変えない場合(当たる確率は1/3)に対して、選択を変えた場合(当たる確率は2/3)の方が、当たる確率が2倍に増えることがわかります。
選択を変える場合は、出題者がハズレのカップを取り除いてくれて、その結果残ったカップを選べる、ということによって当たる確率が増えている状態だと考えるとわかりやすいですね。
<さらにわかりやすいかもしれない解説>
以上の説明から気づくのは、別のカップに選択を変えるということは、この場合だとBとCのカップを2個まとめて選べる(そのうち空の1個は取り除かれる) のと同じことだと言えそうです。つまり3個のカップの中から2個を選ぶ時の確率(2/3)になるわけです。
これを逆に考えるともっとわかりやすいかもしれません。まず、解答者が3つのカップの中から、例えばBとCのカップを両方とも選びたいと思ったとします。つまり確率2/3で選ぼうというわけです。その場合はこのゲームのルールを逆手に取って、まず最初に、一番当たらないだろうと思っているAを選びます。するとBとCのうち、空のカップ1個が出題者によって取り除かれるので、残った1個のカップを選ぶようにすると、結果的に確率2/3で1個のカップを選べたことになります。
このゲームの性質上、選択を変える方のカップは出題者が取り除くカップとセットになっているという規則が存在するので、選択を変えるということは、取り除かれたカップも含めて2個分を選ぶのと同じことになります。
もし出題者が1個のカップを取り除いたあとに第三者が現れたとして、その人から見ると1/2の確率での選択になりますが、ゲームの経過を知っている解答者には、2/3の確率で当てられる情報が与えられている、ということになります。
さらにわかりやすくすると、100個のカップの中の1個に当たりが入っている場合、98個のハズレのカップが取り除かれたあとの1個に選択を変えるということは、最初に選んだ1個以外の99個をセットにしてまとめて選択できるのと同じこと(当たる確率は99%)になります。
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