雅子さまの想い出
いまから20年以上も前のことですが、奈良県の明日香村で、雅子さまと皇太子様が田舎道を車に乗って通られるのを側で見たことがあります。
最初は興味本位で見に出かけたのですが、ほんの一瞬そのお姿を拝見しただけで、どんな人に対しても、ひとりひとりに丁寧に寄り添われる雅子さまの優しさを知ることができました。
私が雅子さまをお見かけしたのは、沿道ではなく、雅子さまを乗せた車が通る十字路で、ちょうど踏切を通過する電車を見るような位置関係でした。明日香村の田舎なので、通過される道も田舎道なら、それと交差する私がいた道もそれ以上に細い田舎道でした。そんなところでまでは警備の手も及ばず、警察やSPの姿は見当たりませんでした。見に来ていた人もほとんどいなくて、私達夫婦と、あと近所の人と思われる数人程度がうわさを聞いて駆けつけたような感じです。もちろん歓迎のための日の丸の旗を配るような人もいません。なのでいつ通過されるのかという情報も入ってこなかったのですが、その十字路に着いたらちょうど目の前を通過されたという良いタイミングでした。雅子さまは後部座席のこちら側に座っておられました。
お見かけしたのは一瞬の出来事でしたが、その時雅子さまは、私達を見るなり車のシートから背中を起こして、窓からお顔がよく見えるように前かがみになるくらいの姿勢で、数人しかいない私達に笑顔で手を振って下さったのです。特に私達がいたのは見通しの悪い四つ角で、そこにお車がさしかかるまでは私達の存在がわからなかったと思いますので、急に見つけた私達を見るやいなや、すぐに体を起こして反応して下さいました。そうすることで待っていた人たちが少しでも長い時間お会いすることができるようにして下さったのだと思います。そして田舎のまばらな人々を見るたびに、笑顔で手を振って丁寧に対応して頂いたのだと思います。
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時は過ぎて20年以上が経ち、つい最近も雅子さまを拝見しました。
とある会社の施設が近所にあり、そこに皇太子ご夫妻が招かれておられました。ご夫妻はそこでの見学が終わったあと、門の近くにいた大勢の人々に声をかけておられました。できれば今回も側まで行きたかったのですが、仕事が立て込んでいたので、失礼ながら自宅の窓から双眼鏡で拝見しました。
門の近くに集まっていたのは100人程度で、近所の人々か、今回のご訪問に関連する人々なのかは不明でしたが、ご夫妻はその人たちとお話をされていました。特に雅子さまも熱心にほとんどの人とお話をされ、長時間に及んでいました。園遊会で天皇陛下が一人ひとりにお話をされるようなことを、雅子さまが一般の人々に対して、一人ひとりの目線の高さに合わせてお話をされていたのです。これもまた雅子さまの優しさが感じられてとても印象深く感動的な光景でした。このような地方での出来事は報道されることもなく、広く一般には知れ渡らないことだと思いますが、そのようなところでも一人ひとりに丁寧に寄り添われる雅子さまの優しさに再び感動した次第です。そして雅子さまのような、本当に心優しいお方が皇太子妃であり、また次の皇后様になられることをとても嬉しく思っています。