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2016年4月27日 (水)

おもちゃのポンポン船の原理


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子供の頃、祖父に縁日でポンポン船を買ってもらって、お風呂で遊んだ想い出があります。

船の後ろに突き出た管にストローなどで水を入れておいて、中の水貯めをロウソクの炎で熱すると、管から水が出てきて船が進むというおもちゃです。(下の写真はAmazonにリンクしていますが、そこで他の写真もご覧頂けます。)



つい最近まで、ポンポン船が進む原理は、中の水が熱せられて水蒸気になり、その圧力で管から水が押し出されることによって進むだけの単純な構造だと思っていました。そして水蒸気がどんどん増えていって、水を出しきったら、その後は熱し続けても進まないものだと思っていました。

ところが…

NHKの大科学実験でポンポン船の実験を見たとき、その正しい動作原理がやっとわかってとても感動しました。

大科学実験ではポンポン船の構造を、中が見えるようにフラスコとガラス管で下図のように構成して、フラスコの中の水を外から熱するという実験をしていたのですが、ガラス管の中の水が、ガラス管の口から水中に出たり入ったりして、振動するようにずっと往復運動を続けていたのです!



ポンポン船の原理

ポンポン船の原理。 スターリングエンジンを彷彿とさせる。

(上のアニメーションGIFは、スマホだとパソコン表示モードにするとうまく見えると思います。)
大科学実験の映像では、フラスコ内には水蒸気で満たされた空間が存在して管の中の水だけが往復運動する様子がよくわかりました。水蒸気が管の先から水中に出てしまうこともなく、上図のように管の中の一定の範囲で往復運動をします。あとで調べたところ、これは自励振動と呼ぶ現象らしいです。

そして、この往復運動によって水蒸気の気圧が周期的に変化して、ポンポン船の名前の由来でもあるポンポンという音が出ることもわかりました。音が出る理由は、船の中で水を貯めている金属容器の、平坦な薄い部分が、水蒸気圧の変化でペコペコするためです。

往復運動する様子をよく見ると、フラスコの中の水蒸気が膨張してガラス管の中の水を押しながら、ガラス管の先の方まで水蒸気が達すると、水蒸気が冷やされることによって収縮して一気に外の水を吸い込んでいることがわかりました。もう少し正確に書くと、排出した水の残りが管の内側に付着していて、水蒸気がそれに触れることによって冷えて収縮すると考えられます。(排出した水は直前に管の外から吸い込んだ水なので冷たいのです。)

それと同時に思い出したのは、大人の科学の付録のスターリングエンジンです。スターリングエンジンとは、空気が熱で膨張したり冷えて収縮することを繰り返して動くエンジンです。ポンポン船の原理も基本はスターリングエンジンと同じなのだと思います。

実際には、ポンポン船の場合は空気ではなく水蒸気を冷やすので、圧倒的な速さで体積を減らすことができます。水蒸気が冷えて水に戻ると、約1700分の1の体積になります。たとえば水蒸気を満たして密封したドラム缶や一斗缶に外から水をかけると、水をかけてすぐに凹んでしまいます。ガラス管の中の水蒸気が、瞬間的に体積が減るというのは想像しがたいかもしれませんが、ガラス管の内側に触れた瞬間に水に戻って体積が1700分の1になるわけです。そしてそれがガラス管の内面の至る所で起こっているのです。

大科学実験の映像では、往復運動が始まるまでの最初のうちは、気体が管の先から水中に漏れる程度に出ていました。この理由については、最初のうちはフラスコ内には水蒸気だけでなく普通の空気も存在するので、中の気体を管で冷やしても十分には収縮しないため、フラスコの方からの圧力が勝って空気も混じった気体が管の先から出ていたのだと思います。そして管の口の付近で水蒸気と水との境界面が小さく振動し始めて、 徐々に大きな往復運動になっていました。往復運動が始まったあとは、水蒸気が水中に出ることはありませんでした。

さらに感心するところは、ポンポン船では管が2本使われています。それによって水で冷やすための表面積を増やし、また冷やす水蒸気の体積が増えるようにして効率を上げるように工夫されている点も見逃せません。もっとも、ポンポン船の発明者が管を2本にした理由は、中にストローなどで水を入れるときに、出口も作っておかないと水がうまく入らないからではないかとも考えられます。

番組では管の中を水が動いていることに軽く触れたあと、水蒸気が水を押し出して進むとだけ解説していましたが、管の中で水が往復運動することこそがポンポン船のキモで、船の中の水がいつまでもなくならずに、熱し続ける限り進み続けるのです。水蒸気を利用したスターリングエンジンを搭載した船、と言っても過言ではないかもしれません。

管の中の水の動きが往復運動するにもかかわらず、船が前方向だけに進む理由は、水を管から押し出す時には水が管に添って排出されるためベクトルの方向が揃っているので推進力となりますが、一方、外から管に吸い込む時は、水中の管の口の一点だけで圧力が下がって四方八方からの水を吸い込むことになり、ベクトルの和がほぼゼロになってしまうため推進力にはならないのです。このため水を排出するときだけ船に反作用が生じて前に進むことになります。

さらにさらに…

フラスコの内側とそれに繫がる管の内側には、パスカルの原理が働いています。つまり、断面積の小さな管の中の水蒸気が冷えるときには、容積の大きなフラスコの方に大きな力(減圧)を及ぼし(油圧ジャッキと同じ原理)、これがポンポン船の場合には金属の容器を凹ませて音を出すほどの力になります。逆に、フラスコの中の水蒸気が膨張するときには、その先の管の断面積が小さいために、大きな速度で水を排出して強い推進力を生むと同時に、一気に管の先端近くまで水蒸気が到達し、冷やされる水蒸気の量が急激に増えるので再び勢いよく収縮します。

おまけでもう一つ付け加えるなら、子供が遊ぶ玩具なので、熱いお湯が管から出てくるわけではなく、周りから吸い込んだ水をそのまま吐き出すという繰り返しによって、管からは熱くない水が出てくるということも、おもちゃとしては完璧です。

シンプルな中にもこれら多くの科学的な要素と工夫が集約されているポンポン船は、(発明者には失礼ですが、)もしかするとその発明者もそこまでは思ってもみなかった偶然の産物かもしれません。

とてもシンプルながら、科学的に見ると奥が深いおもちゃです。

侮れません。恐るべし、ポンポン船!






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